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    知ってるつもり 無知の科学 【☆☆☆】
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      本の表紙はイマイチながらも内容はとても面白い

      今年一番よかった本

       

       

      [スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック]の知ってるつもり 無知の科学 (早川書房)

       

      ヒトの思考について考えた本

      これまでこのような発想はなかったことからとても新鮮

      人間の知性について以下の通り述べている

      人間の知性は 、大量の情報を保持するように設計されたデスクトップ ・コンピュ ータとは違う 。知性は 、新たな状況下での意思決定に最も役立つ情報だけを抽出するように進化した 、柔軟な問題解決装置である 。その結果、私たちは頭のなかに世界についての詳細な情報をごくわずかしか保持しない

      このあたりは前から言われていた話

      要は、人間の記憶は限定されていて、しかも間違いも多い

      それが逆に意思決定を柔軟に行うことができるといったこと

       

      では、人間はどのように思考しているか

      こうした意味では 、人間はミツバチ 、社会はミツバチの巣にたとえることができる 。知性は個体の脳のなかではなく 、集団的頭脳のなかに宿っている 。

      個人は生きていくために 、自らの頭蓋のなかに保持された知識だけでなく、他の場所、例えば自らの身体、環境、とりわけ他の人々のなかに蓄えられた知識を頼る 。そうした知識をすべて足し合わせると 、人間の思考はまさに感嘆すべきものになる 。

      人間の思考は、「集団的行為」だというのはこれまであまり考えたことはなかった

      人間が一人で考えられることは限られており、逆に集団で考えることを無意識に行なっているとのこと

      複雑なプロジェクトは、多くの人間の関わりによって成り立っているのは周知の事実

       

      その結果として、本の題名でもある「知ってるつもり」が横行する

      知識の錯覚は 、社会の進化とテクノロジ ーの未来にも重要な示唆を与える 。テクノロジ ー ・システムが一段と複雑化するのにともない 、それを完全に理解できる個人はいなくなる 。

      水洗トイレの例が出ているが、単純な水洗トイレの仕組みさえ、説明しろと言われると説明しきれない

      まさに「ぼーっと生きている」のだ

       

      以下のような事例も紹介

      現代の航空機が良い例だ 。飛行機の操縦方法にかかわる知識は 、パイロット 、計器類 、そしてシステム設計者のあいだに分散している 。知識はきわめてシ ームレスに共有されているので 、パイロットは自らの理解に欠落があることを認識していないかもしれない 。

      すでにパイロットさえ計器の仕組みを理解はしていない

      要は、使い方を知っていれば、その仕組みを理解したようなつもりになっている

      でも、それで問題はない

      何故ならば、人間は決断をするために思考しているわけで、そのためには情報の取捨選択が必要となる

       

      これを政治の話にも引用

      なぜ政治家や利益団体は 、さまざまな政策の因果的結果を検討するのではなく 、神聖な価値観について議論しようとするのか 。わかりやすい答えは 、話をぼかすためだ 。政策の結果を分析しても 、必ずしも政策への支持につながらず 、自らの票や資金を増やすことにはならない 。

      もう一つの答えは 、政策の結果を深く考えるのは 、やはり難しいためだ 。神聖な価値観を前面に打ち出すことで 、自らの無知を隠すほうがはるかに簡単だ 。これは政治家の常套手段だ 。

      知識の錯覚が、戦争、核の事故、党派対立による政治の膠着、科学の拒絶、公正さの欠如などさまざまな不幸を引き起こす恐れがある。

      ヒトは、情報の取捨選択、つまり抽象化が得意

      逆にいうと細かい話は覚えていられないし、「知識の錯覚」を起こしやすい

       Brexitなど最近の政治の話題を考えてもまさにその通りといった感じ

       

      ただ、「知識の錯覚」は決して悪いことばかりでもない

      知識の錯覚の中で生きている人々は、自分の知識に過大な自信を抱いている。それにはメリットもある。たとえば、それは新たな扉を開く。大胆な主張をし、大胆な行動を起こす強さを与えてくれる。

      例えば、アメリカの月面着陸はその典型

      その無謀な挑戦をし、実際に成し遂げた

      本書では述べていないが、人間の急速な進歩は知識の錯覚が起こしているのかもしれない

       

      【まとめ】

      「知ってるつもり」を読むと、アベノミクスやトランプ政権誕生の理由、AIと人間の関わりやクラウドコンピューティングの意味合いなど、最近の論点について色々と考えさせられる

      人類は集合知で発展したというのは、とても日本的で馴染みやすい

      そして、その集合知の良い面と悪い面が、まさに日本の良いところ、悪いところになるようにも思う

       

      運用という観点で考えると、政治分析を考える上で役立つ

      そして一番の収穫は、結局自分のポジションは自らの分析だけで成り立っているわけではないということを再認識したこと

      「知ってるつもり」からは逃れられないだけに、その良い面と悪い面をしっかりと意識してポジショニングしていかなければいけない

      物事をザックリと把握する「知的握力」という言葉が好きだが、「知ってるつもり」の裏返しの言葉であるように思った

       

      | 社会科学 | 19:19 | comments(0) | - |
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